当会会員の懲戒処分に関する会長談話 

当会は,本日,当会所属の西河修弁護士(以下「被懲戒者」といいます。)に対して,除名の懲戒処分を言い渡し,これにより,被懲戒者は,弁護士資格を喪失しました。

これは,被懲戒者が某会社の破産申立てを受任していた事件において,多額の預り金と個人預金を混同し,預り金を生活費及び事務所経費に費消し,依頼者から解任されてもこれを返還しなかったこと,また同社が有していた債権の回収手続を怠ったため,消滅時効の完成により多額の債権の回収が不可能となったことなどを理由とするものです。

当会会員の除名処分は,当会の歴史上初めてのことであります。

また,被懲戒者のこうした行為は,弁護士及び弁護士会に対する信頼を著しく損なうものであり,当会としても極めて深刻な事態であると厳粛に受け止めております。

当会は,昨年8月,懲戒委員会の議決がなされる前の段階におけるいわゆる事前公表の措置を講じ,被懲戒者について懲戒手続が開始されている旨を公表しました。しかしながら,その後も,被懲戒者は,預り金の返還を全く行わず,当会の懲戒委員会の調査・議決を経て今回の処分に至ったことは,誠に遺憾であると言うほかありません。

当会では,会員の不祥事の端緒を早期に把握すべく,以前より,市民相談窓口の充実を図るなど,不祥事の根絶に向けた努力を続けておりますが,特に弁護士の預り金口座の調査については,当該弁護士が綱紀・懲戒手続中であっても原則として弁護士会独自の調査を行うことができる旨,従来の方針を変更して対策を強化しております。

当会としましては,今後も,会を挙げて各種の不祥事の予防及び対策に取り組み,弁護士に対する市民の信頼確保のために全力で取り組んでいく所存です。

 

2023年(令和5年)10月2日
静岡県弁護士会
会長 杉田 直樹

 

印刷用PDFはこちら