静岡県弁護士会歴代会長有志による安全保障関連法案の廃案を求める声明

政府は,昨年7月に集団的自衛権を容認する閣議決定をすると共に,今国会に安全保障関連法案(以下「本法案」といいます。)を提出しました。その後,本法案は審議不十分のまま本年7月15日衆議院において強行採決され,現在参議院において審議中であります。

本法案につきましては,日本弁護士連合会をはじめ全国の弁護士会,大多数の憲法学者・法律家,国内の各界各層の多くの団体,多くの国民,更には,政府の法解釈をつかさどる内閣法制局の元長官さえもその問題性を指摘し,反対しています。その理由とするところは,本法案の中核をなす集団的自衛権は,戦争の放棄,交戦権の否認を定めた憲法第9条の解釈上如何なる意味においても許容することはできず,憲法違反であるという点にあります。仮に,集団的自衛権の行使に「日本国の存立危機」,「他の手段がないこと」,「必要最小限の武力行使」といった基準を設けたとしても,政府の説明によりますと,その内容は極めてあいまいであると言わざるを得ません。あいまいな条件の下に我国が戦争に加担して行く可能性は否定できないのです。

政府は,集団的自衛権の根拠を砂川事件最高裁判決に求めています。しかし,砂川事件において集団的自衛権が正面から議論されたことはなく,政府のこの見解は的外れという他ありません。

それにも拘らず本法案を強硬に推進しようとしている政府の態度は,憲法の最高法規性を定めた憲法第98条や,国務大臣や国会議員に憲法擁護義務を課している憲法第99条に違反し,近代国家の到達点である立憲主義に真向から反しています。

基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする(弁護士法第1条)私達弁護士としては,本法案の成立を座して見過ごすことはできず,ここに本法案の廃案を強く求めます。

 

2015(平成27)年8月30日
静岡県弁護士会 歴代会長有志
1984年度会長 土屋 連秀 
1986年度会長 勝山 國太郎
1987年度会長 藤田 雅弘 
1988年度会長 小林 達美 
1989年度会長 望月 保身 
1991年度会長 原 陽三郎 
1995年度会長 村松 良  
1997年度会長 内田 文喬 
1999年度会長 岩本 充司 
2000年度会長 福地 明人 
2002年度会長 塩沢 忠和 
2003年度会長 河村 正史 
2004年度会長 小川 良明 
2005年度会長 三井 義廣 
2006年度会長 興津 哲雄 
2007年度会長 杉本 喜三郎
2008年度会長 青島 伸雄 
2009年度会長 鈴木 敏弘 
2010年度会長 伊東 哲夫 
2011年度会長 齋藤 安彦 
2013年度会長 中村 光央 
2014年度会長 小長谷 保 
2015年度会長 大石 康智 

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