今国会における「個人情報保護法」案に反対し、個人情報保護を真に実現する法制の在り方の検討を求める会長声明

今国会において、「個人情報保護法」案が審議されようとしている。

この法案は、情報通信技術の発展により電子化された情報が通信ネットワークを介して大量・迅速に処理可能となったことから、集積された個人情報を保護する必要が高まったことに対処するためのものであるとされている。

しかしながら、この目的を果たすための法案としては、以下の問題点を孕んでおり、個人情報保護には不十分であるだけでなく、民主主義の基礎である国民の知る権利を侵害しかねないものである。

  1. 公的部門に対する規制が先送りされており、個人情報保護の名の下に主務大臣の権限強化による重度の情報管理型社会出現を招き、国家が民間情報を統制する危険性が高く、他方、国民のプライバシー保護の観点は薄い。
  2. 厳格な構成要件によらないままでの両罰規定を伴う罰則が定められており、罪刑法定主義に反する疑いがある。
  3. 報道する側の取材の自由が制限され、情報提供者に対する罰則の適用により内部情報の取得が困難となり、取材源の秘匿も困難に陥る。
  4. 取材される側からの透明性原則による不当要求を根拠付けることになりかねず、国家に不都合な情報の開示が拒絶できることになる。
  5. 公的部門における個人情報保護制度の充実化、個人信用情報、医療、電気通信事業、教育等の各分野における個人情報保護法案との調整をする必要がある。

もとより高度情報化社会が進展する中で、個人情報保護法制は必要であるが、現在提出されている個人情報の保護に関する法案には、上記のように憲法上さまざまな問題点があり、若干の修正では解決される見込みもなく、これに反対せざるを得ない。

同時に、実効的な個人情報保護を真に実現する法制のあり方について改めて検討すべきことを求める。

以上、表明する。

2002年(平成14年)5月21日
静岡県弁護士会
会長 塩沢 忠和

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