浜岡原子力発電所の廃止を求める意見書

第1. 意見の趣旨

当会は、浜岡原子力発電所に関して次のとおり意見を述べる。

浜岡原子力発電所は、現在その運転を停止中であるが、運転を再開することなく、廃止するよう求める。

第2. 意見の理由

  1.  わが国は、原子力発電の推進をエネルギー政策の基本とし、2010年6月には、発電における原子力の比率を2030年に当時の30%から50%に高めることを含むエネルギー基本計画を閣議決定する等してきた。
     この原子力発電の推進を基軸とするエネルギー政策は、原子力発電所の安全性を大前提としていた。
     しかし、この度の福島第一原子力発電所の大事故は、その安全性を完全に崩壊させた。この原因は、3月11日に発生した地震そのものによるのか、津波によるのか必ずしも明確ではないが、その安全性が崩壊したことは間違いない。
  2.  浜岡原子力発電所は、平成13年12月にとりまとめられた政府の中央防災会議の「東海地震に関する専門調査会」報告において「駿河湾から九州にかけての太平洋沿岸では、南海トラフでの海溝型地震が100から150年おきに発生しているが、駿河湾付近では1854年の安政東海地震の後約150年間大きな地震が発生しておらず、プレート境界での歪みが臨界状態まで蓄積している可能性が高く、いつ巨大地震が発生してもおかしくないと想定されて」いる地域のほぼ中央に所在している。
     この浜岡原子力発電所について、菅直人内閣総理大臣は、5月6日に緊急記者会見を開催し、稼働中の4号機及び5号機を含む全ての原子炉の運転停止を中部電力に要請し、同電力はこれを受けて停止を決定した。この要請は、想定される東海地震に十分耐えられるよう、防潮堤の設置などの実施がなされるまでという条件付きのものであり、中部電力も防潮堤を設置するまで停止するとのことである。
     しかし、福島第一原子力発電所の大事故の原因が地震そのものによるのか津波によるのか、いまだ明確に究明されていないとともに、東海地震の震度や津波の高さは全て想定であり、この度の東日本大震災のように想定外の事態が十分に起こり得るのである。いずれにしても、浜岡原子力発電所は、いかに防潮堤を設置したとしても、地震そのものによって大事故を起こす可能性が極めて高いのである。
     従って、停止した浜岡原子力発電所の再稼働を認めるべきではなく、その廃止をすべきものと考える。
2011(平成23)年5月24日
静岡県弁護士会
会長  齋藤 安彦

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