消費者行政の一元化と地方消費者行政の強化を求める会長声明 

政府は、消費者行政推進会議の本年6月13日付最終答申を受け、同月27日消費者行政推進基本計画~消費者・生活者の視点に立つ行政への転換~を閣議決定し、消費者の視点で政策全般を監視し、消費者を主役とする政府の舵取り役として、消費者行政を一元的に推進させるための強力な権限を持った新組織(仮称「消費者庁」)を創設し、必要な法整備を行い、平成21年度から発足させることとした。

同基本計画は、新たに設置される消費者庁について、消費者の視点から政策全般を監視するため、強力な総合調整権限、勧告権の付与、既存の法律、新法を問わず具体的な法案等を含む幅広い企画立案、勧告権を実効あるものとするため、充実した調査・分析機能を備える必要があるとしている。

また、同基本計画は、地方消費者行政について、政府は、消費者が頼れる分かりやすい一元的な相談窓口を整備し、国、地方一体となった消費者行政の強化のために「新組織の創設と併せて、地方分権を基本としつつ、地方の消費者行政の抜本的な強化を図ることが必要である。」と地方の消費者行政の強化を要請している。すなわち、「地域ごとの消費者行政は、自治事務であり、地方自治体自らが消費者行政部門に予算、人員の重点配分をする努力が不可欠である。」として地方自治体に努力を求める一方で、「消費生活センターを一元的な消費者相談窓口と位置づけ、緊急時の対応や広域的な問題への対処等のために全国ネットワークを構築することは、国の要請に基づくものであり、法律にも位置づけを行うことを踏まえ、国は相当の財源確保に努める。」として、国も相応の負担をする予定であることを明記している。

静岡県弁護士会は、消費者行政の発展に資するこの閣議決定を高く評価するものであり、政府に対して、この閣議決定の確実なる実行とさらなる進化を要望する。消費者が主役の実効性ある制度とするためには、消費者庁に消費者行政を一元化し、十分な権限を与えるとともに、都道府県・市町村など消費者に身近な地方相談窓口において、人的及び物的体制を十分に確保することが必要である。

  1.  よって、当会は、政府に対して、以下の点を求めるものである。
    1. (1) 消費者庁が、消費者施策の企画・立案・実行するにあたり、消費者問題に携わる民間人や消費者団体を積極的に活用するとともに、これらの民間組織と連携し、その活動を支援する制度を整備すること。
    2. (2) 消費者庁が、消費者被害の拡散防止と個々の被害の回復のために、あらゆる消費者被害情報を迅速かつ一元的に収集し、適切に分析し、消費者に公表することができる組織であること。
    3. (3) 悪質事業者のやり得を許さないために、消費者庁に違法収益を剥奪できる権限を付与すること。
  2.  また、当会は、静岡県、静岡県下の政令指定都市及び各市町村に対し、消費者相談窓口をより一層充実させるため、人的及び物的体制を十分に確保することを求めるとともに、今後とも各地方自治体と協力し、消費者被害の防止と救済に全力で取り組む所存である。
2008(平成20)年9月12日
静岡県弁護士会
会長 青島 伸雄

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