本日は、日本国憲法が施行されてから78年目の憲法記念日です。
日本国憲法は、基本的人権の尊重、国民主権、恒久的平和主義の3つを基本原則として定めています。
本年は、第二次大戦終結から80年という年でもあります。
戦争放棄と戦力不保持をうたう憲法9条の「恒久的平和主義」は、戦争の惨禍に対する痛切な反省に基づいて定められたものです。世界に先駆ける徹底した平和主義を憲法に定める日本は、国際社会の中で平和国家としての一定の評価を得てきました。憲法9条は、戦後の日本において、現実の世界情勢や外交、政治との間で緊張関係を強いられながらも、平和主義の確保に現実的な機能を果たしてきました。
現在、ロシアによるウクライナ侵攻、ハマスによる襲撃をきっかけにしたイスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への攻撃など、各地で武力紛争が続いており、憲法9条の掲げる「平和主義」の存在意義が大きく問われる状況にあります。他方、日本国内では、2014年(平成26年)に集団的自衛権行使容認の閣議決定がされ、その後も、政府は敵基地攻撃能力の保有に向けた取り組みや防衛費の増額などを進めています。
戦後80年の節目を迎え、改めて、憲法9条の理念に基づいた徹底した恒久平和主義に立脚し、外交と信頼関係による国際平和の維持を日本政府に求めます。
そして、当会は、市民の皆さんと、平和の実現について共に考え、行動をしていきたいと考えています。
また、昨年9月26日、静岡地方裁判所で袴田事件の再審無罪判決が言い渡され、10月9日に確定しました。えん罪は、国家による最大の人権侵害です。袴田事件では、無罪判決を勝ち取るまでに途方もなく長い年月がかかりましたが、その原因は、現行の刑事訴訟法の再審規定(再審法)にあります。当会は、これまでも「再審法改正プロジェクトチーム」を中心に再審法改正に向けて活動を続けてきました。 今後も、憲法の定める「基本的人権の尊重」の理念に基づき、真の適正手続が確保される再審法改正が速やかに実現するよう、強力な活動を展開してまいります。
当会は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士の団体として、日本国憲法の理念を守る活動に全力を挙げて取り組む所存です。
静岡県弁護士会
会長 村松 奈緒美
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